妻と鉄路で松江市へ行く。
松江駅に着くと11時。
駅に隣接したデパートの最上階の店で割子そばを注文する。
生ビールを飲みながら市内の景色を眺めていると、昔のことがしきりに思い出される。
その記憶の多くは、県庁所在地としての出張に関わるもの。
食事を終えてから、同じフロアーで開催されていた、島根陶芸展を観る。
県内各所の窯元の製品を一度に観ることができる。
2年前、集落の日帰り旅行の際に立ち寄り、そこで飯茶碗を買い、少し話しをしたことのある窯元の奥さんが売り子の一人としていたので、声を掛ける。
「以前、お宅で茶碗を買ったことがありますよ。いまでも、毎日それでご飯を食べていますよ」
「ご飯はおいしいですか」
「もちろんです」
駅前で市内を循環する市営の周遊バスに乗る。
観光者のためのバスに乗ると、見慣れた風景も新鮮に見える。
逆周りであれば10分程度のところを、40~50分かけて今日の目的地である県立美術館に到着する。
美術館を出て、地下道をくぐってすぐのところにある窯元に行く。
2階の小さな展示場に上がると、そこの主人と思われる人が作業場から上がってくる。
手ぶらで展示場を出る前に、その老主人に声を掛ける。
「25年まえ、就職した年にここに来て、これと(小皿を見せて)同じものを5枚買って、今でも使っていますよ」
「そうですか。ありがとうございます」
笑いながら「さすが丈夫ですよね」
笑いながら「丈夫で良いような、そうでないような・・・」