bunbunの記

カテゴリー クラブB&J、活動の様態、私的な事々、非日常的な、奇妙な偶然、その他

とりあえず引用を

 

一昨年の1月にふと思い立って、ミニバスクラブでの練習の様子を大学ノートに書くことを始めました。

 

その年の3月に『学び合い』に出合い、4月から『学び合い』の考えで指導をはじめて、1年後の4月にはそのクラブから独立しました。

 

私と子ども達との四苦八苦のその1年間の記録はノート1冊に渡っているのですが、そのノートの表紙の裏には次の文章を書き写しています。

 

ミッシェル・セールの『五感』という書物のなかに、目的地に向かって最短の道をとる方法(methodという単語がギリシャ語の「道にそって」という言葉に由来する)に対して、ランドネ(遊歩道)、つまりは散策の道、回遊の道を対置している。

方法的な直線の道は、鉄道やハイウェイのように平原を掘り起こし、山や谷を突き抜けて最短距離で進む。そのあとを今度は機関車が、自動車が、騒音や排気をまき散らしてゆく。これに対してランドネの道は、風景と折りあいをつけながら、ときに風景のその襞のなかに紛れ込んだり、社を迂回したり、別の道に通じたりして、うねうね進んでゆく。この「長く、曲がりくねった、ぎざぎざした、雑多な」ランドネの道で、ひとは寡黙なものにふれる。思いがけないものと遇う。用がないものにも目を向ける。じぶんが方法の道の上にいればぜったいにふれられないものに、ふれるのである。(鷲田清一『「聴く」ことの力』より)