トイレに行くと一匹の蜘蛛が、よじ登ることができずに水面の少し上にはりついていた。
用を足して水を流そうとして、思い直して、トイレットペーパーの一切れを蜘蛛へともっていった。
私「さっき、蜘蛛を助けてやったけど、いいことがあるかな」
妻「「蜘蛛の糸」ね。「蜘蛛の糸」って、上がってくる人を蹴落としたんだっけ」
私「自分だけ救われようとしたから糸が切れたんじゃなかったかな」
妻「・・・・・」
私「これで自分は救われるって期待した後の失望だからね。これは絶望だよね。こんな思いをするぐらいなら助けるんじゃなかった、と思ったかもね」
妻「・・・・・」
私「そんな思いをしないようにしなくてはね」