昨日の日記に書いた「問題が自分のなかで立体的に見えてくるまで・・・」というのは哲学者 鷲田清一さんの言葉です。
そしてこれから書くのは同氏の『「聴く」ことの力』という本のなかの一文で、私が3年前にミニバスのクラブで『学び合い』を始めたころから書き始めた練習日誌のノートの表紙の裏に書きとめているものです。
”ミッシェル・セールの『五感』という書物のなかに、目的地に向かって最短の道をとる方法 ― methodという単語はギリシャ語の「道にそって」ということばに由来する ― に対して、ランドネ〔遊歩道〕、つまりは散策の道、回遊の道を対置している。
方法的な直線の道は、鉄道やハイウェイのように平原を掘り起こし、山や谷を突き抜けて最短距離で進む。そのあとをこんどは機関車が、自動車が、騒音や排気をまき散らしてゆく。これに対してランドネの道は、風景と折り合いをつけながら、ときに風景のその襞のなかに紛れ込んだり、社を迂回したり、別の道に通じたりして、うねうね進んでゆく。この「長く、曲がりくねった、ぎざぎざした、雑多な」ランドネの道で、ひとは寡黙なものにふれる。思いがけないものと遇う。用がないものにも目を向ける。じぶんが方法の道の上にいればぜったいにふれられないものに、ふれるのである。”
いい文章ですね~。書き写したら、ちょっと調子がよくなりました。