bunbunの記

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裸足ランの顛末

 

お通じバッチリだし(長距離の大会は意外とこれが肝心なんです)、天気も良好。

 

早いもので走り始めてから4年が経過して、この大会への参加も4回目となりました。

 

600人ぐらい(?)のランナーと共にスタートの号砲を待ちながら、A氏と話をしました。

 

「陽希君のテレビ番組で、園が出なかったねえ。こんどのスペシャル番組で出るんだろうね」

 

スペシャル番組があるなんて知りませんでしたからねえ。観てるときは、あれっ?って思いましたよ」

 

(この会話は、分かる人にしか分かりませんね。すみません)

 

「ところで、女房は3kmを走るんだけど、昨夜もある会合から帰って来て旧態然とした状況に悶々としてたから、まあ走ればすっきりするよって言ったんだよ」

 

ぎりぎりまでそんな話をしていたら、スタートになりました。

 

陸上競技場から運動公園内の道路に向かって、たくさんのランナーたちが混雑しながら進む中を、私は裸足で駆け出しました。

 

なかなか快調な走り出しだと感じました。

 

実はこの1ヶ月近く、毎日の様に1歳の飼い犬と一緒に3kmばかりの距離を走っています。

 

その生来の裸足ランナーである彼(犬)の走りを思い浮かべながらスピードを上げて行きました。

 

(気持ちいい~)

 

しかし、それもつかの間、5kmも行かないころから左足の裏側の違和感に気づき始めました。

 

これまでの裸足ランニングの経験から言ってもずいぶんと早いその感覚です。

 

走りながら考えました。

 

今、左の足の裏側のある一点に違和感がある。

 

それは解消されるべき違和感である。

 

だが、この違和感自体に捕らわれてはだめだ。

 

この違和感をなんとかしようと思ってはいけない。

 

そうではなくて身体全体の、それぞれの細かな部分部分がこの違和感を受けてざわざわと変化して行くのだ。

 

それによってこそ、この違和感が解消されるだけでなく、自分自身にとってのさらに高次的に最適化された走りとなるのだ。

 

この得難い体験は、シューズに守られた足ではできない。

 

その守りから抜け出す必要があるんだ。

 

そしてそれは、人間社会においても同じことが言えるのだ。

 

とても哲学的な走りです。

 

でも、思いは哲学的でも、路面は現実的でした。

 

折り返し地点までの前半の道路はまだ良かったのですが、後半の河沿いに長く続く道路はアスファルト舗装が粗くて、次第に両足裏の痛みが増すようで、走る速度も遅くなり一人二人とランナーたちに追い抜かれるようになりました。

 

そこで、短パンのポケットに入れていたビーチサンダルに履き替えれば良かったのですが、レース途上ではなかなかその踏ん切りは付かないものです。

 

競争中ですから。

 

履く時間が惜しいし、その頃には身体も疲れていて走ること以外の行為が億劫にも感じられるのです。

 

(結局、少しでも良い順位とタイムで、さらには裸足で完走もしたいという強欲によるのですが)

 

(「あ、裸足だ。がんばってー」の沿道の応援も励みになっていました)

 

やがて、次々とランナーに抜かれ始めたことと、気がつけば耐え難くなっている足の裏の痛みに、道路の縁石に腰掛けて慌ててビーチサンダルに履き替えたのは、残りも3kmとなったところでした。

 

「よーし、行くぞー!」

 

ビーチサンダルを履いても痛みを感じる足の裏ではあったのですが、それでも素足よりはずいぶんと良くて、それからはスピードを上げ、ランナーたちを次々と追い抜いて行きました。

 

抜かれるのは残念だけど、追い抜くのは気持ちが良いものです。

 

ゴールがある運動公園内の坂道に入りゴールまであと500m・・・

 

片方のビーチサンダルが脱げました。

 

急いで履いたので、ビーチサンダルの花緒と取り替えてランニング用に改良した紐をきちんと結んでいなかったのがその原因です。

 

脱げたビーチサンダルを手に持って走りました。

 

片足は裸足でもう一方はビーチサンダルという格好です。

 

「あ、切れたんだ」と、沿道で応援している女性の声が聞えました。

 

ゴール前なので、たくさんの人が沿道にいます。

 

ビーチサンダルのイメージが悪くなってはいけません。

 

100キロ走っても、70キロ歩いても100均ビーチサンダルは壊れません。(実証済み)

 

慌てて片方だけのビーチサンダルを脱いで短パンのポケットに入れ、痛む裸足の両足で走り始めました。

 

それもたぶん10メートルばかりのことで、すぐに陸上競技場などの敷地内に入ることになり、そこからのゴールまでの50メートルばかりは、小さな石を敷き詰めた美しい路面で(裸足ランナーにはこんな路面が一番きつい)、「もう無理!」とばかりにビーチサンダルを取り出して紐を足首に縛ることもせず、ビーチサンダルの紐を足の親指と人差し指ではさんで、右足のビーチサンダルなどは足の向きとは直角の方向になりながらも、足の裏さえ保護してもらえばそれで良いという風体でのゴールインと相成ったのでした。

 

記録は1時間47分で、この大会の自己ベストが1時間45分なので、ジタバタした割には良かったのですが、足の裏は最悪です。

 

大きな水ぶくれ(水疱)が両足の何箇所にもできていて、一夜明けた今日も歩くと痛みます。

 

去年の夏にもハーフマラソンを裸足で完走したのですが、そのときには「右:踵の縁辺りが少し水ぶくれっぽい。左:直径2cm弱の水ぶくれ1つ(薬指付け根の肉球辺り)と踵の縁辺りにわずかに水ぶくれっぽさあり」ぐらいだったのです。

 

冬は路面が冷たいので、この数ヶ月は裸足で走ったことがなかったのが大きかったのかもしれません。

 

でも、良いんです。

 

痛みを得てこそ学ぶことも多いのです。

 

この大会は、1.5km、3km、5km、10km、ハーフマラソン、とそれぞれの部があって、会場に行くと小学生から老人(最高齢者ランナー79歳?)までのたくさんのランナーたちがウォーミングアップで走ったりしています。

 

その様子を目にした女房も、やっぱり元気がでるね~、と言っていました。

 

そういうことです。