広島市の伯父の通夜・葬式に行く。
私の母の姉の夫がその伯父である。
だからそこは、血縁関係故に、私の子供の頃から今に至るまでずっと「伯父さんの家」ではなくて「ひろしまのおばさんの家」だった。
(そのおばさんもすでにもういない)
帰宅して風呂に入っていて思い出した。
気がつけば、それはもう40年も昔の話。
大学は3校の試験を受けた。
そのうちの2校は広島市で受験した。
どちらも、前夜には「ひろしまのおばさんの家」に泊まったのだが、朝食時に軽い吐き気がした。
これから始まる試験に緊張していたのだ。
そんなことを思い出した。
それから、別のことも思い出そうとしていた。
そして、思い出した。
たぶんこれも高2か高3の、大学受験より前のことだった。(と思う)
初めて1人でバスに乗って広島まで行って「ひろしまのおばさんの家」に泊まり、1人で街を歩き回って、映画館で外国の大人(成人・・・ではない)の映画を観た。
自分が暮らす島根の田舎町から一番近い都会が広島市であり、その都会へ1人で行くということと、その都会にある親戚の家が唯一「ひろしまのおばさんの家」だったということ。
そんなことを考える。
小さな子供のころから成長するまで(考えてみれば結婚する20代の終わりの頃まで)の間に、何度も「ひろしまのおばさんの家」に行った。
そして、また思い出そうとしている。
そのとき、そこにいた伯父さんのことを。
ずっと静かに。