「白いリストバンド持ってます?持ってない?じゃあ、用意しときます」
2年ぶりに当地で開催されるシニアのバスケットボール大会。これまでは赤いリストバンドをつけた50歳以上の得点が2倍となる地元ルールで行われていたのだが、今回から60歳以上は白いリストバンドをつけて3倍にすると、大会主催者のヒノハラくんが言う。
去る8月28日(日)大会当日。
隣県広島を含む町外からの複数のチームが参加していたこの大会も、コロナ禍により前回と同様に隣町と、その隣の町のさらに隣の市(以下「隣の市」と記す)からの2チームだけを招いての小規模なものとなっている。
体育館の玄関で検温して机の上の名簿に体温を記入。名簿には各チームの選手名とその年齢があって、それを見ると60歳以上は自分だけで、50代にしても我がチームである矢上中年隊には4人いるが、隣の市のチームは1人だけで、隣町のチームには誰もいない。
「コロナもあって最近は練習にもあんまり来てませんね。今度は連れて来ます」
シニアの大会ではいつもその姿があった自分より2つばかり年上の隣の市のチームの人は、前回に続いて今回もいないと言う。
隣町と隣の市との試合に続き、まずは隣の市のチームと対戦。
およそ4ヶ月前に始まり、この1ヶ月ほどはシュートも打てなくなっていた右手から肘にかけての痛みはこの大会が近づくほどに軽くなって、多少の違和感はあるもののプレイには支障ない。
結果はシュート4本。
バスケの大会に参加するようになったこの10年間ずっと、良くても1、2本しか決められなかった自分が、初めて5本のシュートを決めたのは5月の地元でのバスケ大会の初戦でのこと。
6月、7月と続いて行われた大会を合わせた後の5試合では、良くて1本といういつもの自分に戻っていたので、その結果にいくらか安堵するところもあったのだが、さらに重要なのはその得点数なのではないかと今は思っている。
人生初の24得点。
通常ならシュート1本で2点のところ、自分だけはそれが3倍。
6点、6点、6点、6点と追加されて行くのだから、味方は愉快で、敵は堪らない。
2試合目は隣町のチームとの対戦。
ここでは40歳ぐらいの選手にぴったりとマークされて打つ手もなく1本だけ。(それでも6点)
大会の結果は、なんだか(年だし)ぼーっとしていてよく覚えていないのだけど、得点が2倍になる50代が半数近くいる我がチームが2勝(だったはず)。
ヒノハラくんが「白のリストバンドで3倍」と言ったときには、それはやめて欲しいと正直思った。年取った上に悪目立ちまでするなんて。
でも、これはお祝いだと今は思っている。そして自分がそのお祝いの肴でもあるのだ。
普通なら行われているかもしれない打ち上げのないその日の夜に、1人家でお酒を飲みながらフェイスブックを見ていると、ヒノハラくんの投稿した画像が目に入った。自分にとってはこれもまた有り難いお祝いであった。
(画像借用しました)
さて、9月からの3ヶ月間、春に続く秋のリーグ戦が行われる。