ヘリポートの完成式がありました。
救急患者を搬送するヘリコプターが離着陸するためのものです。
病院の裏には職員駐車場になっている広場があるのですが、その一画にできました。
広場の端にあるヘリポートのすぐ先は土手になり、その土手の下には畑があり、そのずっと向こうには盆地を囲む山並みが見えます。
始めに、安全航行祈願祭がありました。
ヘリポートの上に仮設された祭壇で神事が行われましたが、その祭壇の向こうには空間が広がっているだけです。
神事の次には開所式がありテープカットが行われましたが、そのテープのすぐ先にあるのは、山並みに囲まれた盆地の風景だけでした。(完成されたヘリポートは足の下にあるのですから)
その後、ずいぶんと離れた場所に移動した来賓者が見守るなかを、県の防災ヘリコプターがやって来てヘリポートに着陸しました。
今の病院長が着任して2年半。
その間ずっと院長は、病院から眺める景観の妨げになっているプレハブ小屋を撤去して、できることならそこにヘリポートをつくりたいと言い続けていました。
「とうとう院長、ヘリポートをつくりましたね」(私)
「やっぱり、言い続けるって大切なのかもね」(ある職員)
ヘリポートをつくるためには、過去数十年の診療記録が納められているプレハブの撤去(診療記録を整理し移動させるには病院職員の多大な労力が必要)や、ヘリポート建設に掛かる費用(これは、この度の降って湧いたような国からの臨時交付金で解決)の課題がありました。
この2年半の間、院長はただひたすらに目標のみを言い続けていました。(命令することなしに)