この道を連れられて行ったんだろうな・・・
妻と車で浜田市世界こども美術館へ行く。
目的は絵本画家、太田大八氏の講演会と特別展「太田大八と絵本の仲間たち」。
この美術館に隣接する土地の、市街地側にはあの事件の女子大生が暮らしていた寮があり、山側にはその女子大生が通っていた大学がある。
美術館の2階にある多目的ホールへ行く。
ステージの上の長机には「〇〇出版編集長〇〇〇〇氏」と「絵本画家太田大八先生」と書かれた2枚の紙が下っている。
講演会開始時間の午後1時、編集長という人がステージに上がり、話を始める。
それから1時間が経過したころに一人の老人が現れる。
太田大八91歳。
その老人は編集長の隣の席に座り、ようやく当初予定されていた形の講演会が始まる。
そして終わる。
この間、約20分。
老人は、編集長の質問に少し答えるだけで、後は座ったまま。
講演会が終わり、特別展を観る。
太田大八と詩人谷川俊太郎の共作の詩画集「詩人の墓」の原画も展示されている。
「何か言って詩じゃないことをなんでもいいから私に言って」(*)。
人間のもつ多様さとして「それ」をなくすることはできない。
できるとしたら「それ」を変質させることだけだ。
あるものをないものとすることはできない。