”家を自分の好みで統一する人間というのが私はあまり好きではない。
よく雑誌に、趣味的に統一された端正な部屋を披露して自慢げにしている有名人が出ているが、それを見ると、「なんか厭」と思う。
なんというか「とりつく島がない」ような気がするのである。
もっと雑多でいいんじゃないかなと思う。
だって、人間て、雑多なものでしょ。”
内田さん、昨日の私の読書のことをご存知だったのでしょうか。
”東京から引っ越して来た日は雪模様だった。足元のおぼつかない子どもには厳しい急な坂道が続いた。”
”門扉から階段へのアプローチ。石畳の選定、並べ方もすべて伊丹十三が自らの手で行った。”
”雑木が好きだった。何をどこに植えるかも全部自分で決めた。木の切り方も厳密だった。”
”子どもが生まれたとき、子育ては東京ではなく自然の豊かな場所で、と考え始め、東京から神奈川県湯河原へ引っ越した。”という、伊丹十三さんの湯河原の家の何枚かの写真に添えられているのが、次に引用した文章です。
今夜は仕事納めの後の職場の宴会がありました。
年上の人と、伊丹十三さんのことの話をしました。
さすが、私より七つ上なので、私の、映画「家族ゲーム」以前の伊丹さんのことも知っていました。
そして、それでも、なお、伊丹さん、あなたも、雑多な人だったんですよね。