bunbunの記

カテゴリー クラブB&J、活動の様態、私的な事々、非日常的な、奇妙な偶然、その他

最初の授業の印象

 

5年生18名、6年生9名による算数の合同学習。S先生が黒板に「課題の設定と時間配分を決める」と書いて「では、始めてください」と言う・・・

縦長の部屋の奥の方から入り口に向かって、まずは5年生かと思われる男の子がテーブルの端に3人ほど並んで座り、そのテーブルの残りの部分には6年生と思われる子どもたちがいて、距離を置かずに続く残りの2つのテーブルに座っているのはすべて5年生なのだろうか。6年生の教室でついさっき紹介されたばかりの9人が5年生と合流して27人の集団となり学年の区別がつかない。

 

正直、私にはなにが始まっているのか分からなかった。この授業の目標はある単元についての課題の設定とその課題をこれからどのような時間配分で行っていくのかを自分たちで決めるということだと理解して見ていたが、それを話し合っている様子なのは一部の子どもたちで、そのほかの子どもたちは、会話をしたり立ち歩いたりしながら、ある子はドリルを行い、別の子はノートを記入していたりして、だれもが別々なことをやっているように見える。

 

授業における固定点が見つけられないというような宙ぶらりんな感覚は授業の終了まで続いたが、なぜかこの場にいることがとても心地よい。

 

印象的な光景があった。授業時間も終わりに近づいた頃、突然、部屋の奥の方に座っていた子どもがちょっと大きな声でなにかを言うと、それに答えて入り口近くの子どもがやはり短くなにかを言った。内容は分からなかったけれど、私には離れて座るその2人が今日の授業についてのなにかを一言で確認し合っているように感じた。

 

まとまりというものがない状態に見えるのに、離れて座る2人さえも瞬時につながっていく。2人は学習とは関係のないことを言い合っただけなのかもしれない。だが、そうであっても、みんなが好き勝手なことをやっているように見えるこの集団は実は有機的につながりあっている。それを感じるからこそ、自分にはその2人のやり取りがこの場を象徴するものとして印象的に感じられたのではなかったのか。

 

時計を見るといつの間にか始まりから30分以上が経過していた。

 

不思議な学習の光景だった。


私は全体の雰囲気をつかもうと子どもたちから離れて見ていたので、個々の子どもたちの取り組みの詳細はあまり分かりませんでした。だから印象風景的なことしか書けません。そこで以下に、S先生との懇談の時間や帰りの車中などで他の参観者が話すのを聞いて知ったいくつかのことを付記します。

 

「あの入り口に一番近いところに座っていた男の子は、失礼ですけど算数が苦手でしょう。(S先生「はい」)。その男の子が30分以上もずっと理解しようと取り組んでいる姿に感銘を受けました。」(懇談会にて)

 

「単元の時間配分を考えるために子どもたちがS先生に何か質問したら、S先生はこれを見たらと言って教師用の指導書を渡していたよ。」(車中にて)

 

「時間配分をしている様子を見ていたのだけど、4時間で勉強してその後の1時間をテストにしようと決めかけたようだけど、その後に、この単元が終われば次にもっと難しい単元が始まるから、この単元にかける時間は少なめにして、次の単元に早く進めるようにしようよ、とも話していたよ」(車中にて)

 

そして最後に、この合同学習の後にある参観者が私に言った言葉を書きます。

 

「早く現場に出たくなった」