高知の会での実践授業のこと・・・
スクリーンに映し出されたのはひとつの図形。
それは傾いたような四角形で、その向かい合うふたつの角は直角。
その四角形のそれぞれの辺には、それぞれの辺をそれぞれに分割した長さがいくつも書かれていて、その四角形のなかに、その四角形の辺を自らの両端の辺として共有するこれまた傾いた四角形の面積を出しなさい。
そして、その面積の出し方をみんなが説明できるようになること。
げー、算数か、とまずは思う。
隣の人が何かを言う。
あー、そうか、と私は言う。
面積を求めるべき四角形を対角線で区切った片側の面積の出し方は分かった。
だが、もう一方の出し方については分からない。
ある男性が近づいて私に話す。
「ここに線を引けば平行四辺形になり、平行四辺形の面積は底辺×高さだから、それを2で割って・・・」
公式を言われても分からない。
その男性は、私の机の白紙の紙に平行な二本の線を引いて、この二つの線の一方を底辺とする三角形であれば、その三角形の一つの頂点をもう一方の線のどの点にとってもその面積は同じだからと私に言うが・・・。
・・・・・。
周りのひとたちはみんな答えが分かったようでした。
(私以外のみんなが教師だもんね)
分かった人が私のところに来て教えてくれるのですが、混乱してしまってなんだかよく分かりませんでした。
自分がなにが分からないのかも分からなくなりました。
教えてもらいながら、自分の外側からと内側からのある圧力を感じるようでした。
外側からの圧力は、みんなが分かっているのに自分だけが分かっていないし、教えられているのにそれも理解できないという焦りのようなもの。
そして内側からの圧力は、家に帰ってから1人でもう一度納得するまで考えてみたいという欲求のようなもの。
そんなことを感じていると、私の前に座っていた女性が私の方に向き、私の机の上に紙を置き、その紙に図形を書きながらひとり言のように言いました。
「なんだか分かっていたと思っていた平行四辺形の面積の出し方の説明がよくわからなくなった」
それから、模擬授業での教師役のイルカさんが、では次の問題に入りますと言っているときに、私の隣の女性が思いついたようにして私に言いました。
「傾いている平行四辺形をぐっとまっすぐにしたとして考えてみるのですよ」