bunbunの記

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メモ(大元舞、そして聾唖のこと)

 

10月11日(土)

 

夕方、大阪から帰省した息子を近くの高速バスのバス停まで迎えに行く。

 

「今年の大元舞(おおもとまい)はいつ、どこである?」

 

そんな電話が息子からあったのは1週間ほど前のことだった。

 

民俗学を専攻している息子は、卒論のためにも今年もまた大元舞を見たいと言う。

 

(いろいろ調べてみたら、今年の大元舞は川戸(かわど)地区だけだった)

 

息子を連れて家に戻ってから一息ついて、車で20分ほどの川戸へ行く。

 

私の土地では4年に1度行われる大元舞だが、川戸では7年に1度行われると言う。

 

2演目ほど見て、息子を一人残して帰宅する。

 

10月12日(日)

 

予定よりも1時間ほど早く、午前3時ごろに目が覚める。

 

女房を起こして、共に川戸へ。

 

大元舞のクライマックスは、夜明け前に行われる神事である。

 

かってはその神事において神懸かりが行われていたのだが、今はその形だけが残っている。

 

昨夜の8時から始まった大元舞が、午前8時前に終わる。

 

「蛇を納めるところを見たい」と息子が言う。

 

大元舞は、藁でつくった蛇と共に大元の神様をお宮まで迎え入れて、一夜を神人共に過ごすというもの。

 

だから、その一夜の宴が終われば、大元の神様をその鎮座地へと送っていく。

 

その様子を初めて見ることになった。

 

帰宅して、地元の運動会へ行く。

 

(運動会があるので昨夜は一度帰宅して睡眠をとった)

 

去年に続いて今年も裸足で競技する。

 

昼過ぎには女房が息子を高速バスのバス停へ送って行く)

 

10月13日(月)

 

夜、隣町でコンサート。

 

岩見和彦(ギター)、和泉宏隆ピアノ)のデュオ

 

和泉宏隆がメンバーの一人であったフュージョンバンド「The SQUARE」の、かってのファンであった女房は会場で買ったCDにサインをもらって喜んでいる。

 

10月15日(水)

 

休暇をとって家人と共に広島市へ行く。

 

その理由はここには記さない。

 

数週間前のおじの葬儀で10年ぶりに会ったいとこがやっている施設には立ち寄るつもりではあった。

 

いとこは、数年前に仕事を辞めて、聴覚障害者(児)の為の施設を運営していた。

 

もらった名刺を見たときに、その施設と私の女房の兄の家とが近いことは、その地名から分かってはいた。

 

だけど、こんなにも近いとはまさか思ってはいなかった。

 

出発の朝になって、その二つの住所を確認してそれを知った。

 

昼食時に、今から6年ほど前に購入して暮らし始めた義兄の家に初めて立ち寄って、その1時間後にはそこから100mばかりのところにある、いとこが運営する作業所を、これもまた初めて訪ねていた。

 

作業所は、聾重複障害者が仕事をする場であった。

 

聞えない。見えない。

 

あちらこちらで手話

 

次に、いとこの車で、聴覚障害児のための放課後デイサービスの施設に行く。

 

施設と言っても、建物の一部を間借りした程のものではあるが)

 

ここも、いとこたちが運営をしている。

 

学校を終えた小学生の男の子2人がやって来る。

 

その内の1人の男の子が指導者とともに鏡の前の机について、発音の練習を始める。

 

それから他の子供たちもやって来る。

 

ここでもあちらこちらで手話

 

作業所も放課後デイサービスも、その場に身を置くまでは、静かな場を想像していた。

 

だけど、そこにはたくさんの音があふれていた。

 

そんな印象をもった。

 

10月16日(木)

 

図書館で「手話の世界へ(オリバーサックス著)」を借りる。

 

手話のなんたるかを知らない人間は、手話ろう者に大きな可能性をあたえること、手話が聴力をうばわれた人間の精神世界社会生活の成否を左右すること、手話が不思議な力で思考を知性へと導き、永遠の暗黒世界から知性を開放することを理解できない』(同書より)