1月28日(木)
午後6時、それまでは穏やかな天気だったのに、体育館に入った直後から強い風が吹き始めた。
ひとつだけ解錠している入り口のガラスの扉が、何度も内側に開いては元に戻る。
その度に夕闇の向こう側から現れる姿を想像するのだけど、それはない。
30分ほど一人で練習して帰宅する。
1月29日(金)
うっすらと降り積もったばかりの雪の中を犬と歩いていたら、道沿いの家の玄関から学生服を着たFくんが出てきた。
「やあ、ひさしぶり。進路決まったの?」
「今度○○大学を受けます」
6年ぶりに見たFくんは身長も伸びて、あの頃の面影もすぐには見つけられない。
「学校決まって余裕があったら、誘い合って木曜のクラブに来たらいいよ。まだやってるんだよ」
「そうなんですか」
Fくんは小学校を卒業するまで、たくさんの同級生たちとクラブに来ていた。
「最近は高校生ばっかりでね。WくんやTくんなんかも来てるよ」
「そうですか。みんなに話してみます」
会話を終えて犬の散歩を再開すると、補習授業になって通常より遅い登校になっているのではないかと思うのだけど、学校の方向に走っているFくんの姿が遠くに見えた。
1月31日(日)
夕方、体育館へ行く。
高校3年のHさんが来ていたので、話しかける。
「進路決まった?」
「決まりましたよ。○○の○○学校です」
「そうか、○○○になるんか」
Hさんは体育館と家とが近いこともあって、小学校を卒業してからも時々思い出したように木曜日のクラブやこの週末のバスケに来ている。
バスケットボールのゲームの合間に、Hさんに話す。
「こないだ(この間)Fくんを見たから、木曜のクラブに誘い合って来んさい(来てね、ぐらいの意) って話したよ」
・・・Fくんも、Hさんも、そしてほかのみんなも、来られなくてもそれはそれでよい。
ただ、年月を経て、そんな話ができることがうれしかった。
(来るかなあ)