bunbunの記

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2本の支柱

 

1月19日(木)  

 

去年の11月10日以来、2ヶ月ぶりの参加者は高3の2人。

 

1人はうちのすぐ近所のSくん。

 

年の離れたSくんの兄は、このクラブを始めた15年ほど前は中学2年で、彼はそのころにいつも来ていたけど、弟のSくんはこれがおそらく初めての参加。

 

「進学決まったんなら暇だろ。よかったら木曜のクラブに来ない?」

 

この間の日曜に誘ったら「あ、あれですね」という反応だったので、参加の機会はなくてもクラブのことは耳にしていたのだろう。

 

もう1人は最初わからなかった。

 

「えーっと」

 

「お久しぶりです」

 

「あ、Kくん?」

 

「名前覚えてもらってたんですね」

 

Kくんが来ていたのは、彼が小6の終わりのころから中1の夏休みのころまでの半年ほどだったので、あれから5年が過ぎている。

 

2人は、支柱を2本立てただけでネットは張らずにバレーボールを始める。

 

「誰かほかに来るの?」と、しばらくして訊けば「いいえ」との答え。

 

やがて2人は私のいる方のコートに移ってバスケットボールの1対1をやり、それから立っていた2本の支柱を片付けて、2人並んでモップ掛けを始める。

 

日曜にSくんをクラブに誘ったのもこの体育館だった。

 

木曜のクラブとは別に、日曜の夕方にはバスケの試合をする子供から大人までの自由参加の場がある。

 

その日は久しぶりに数人の高校生が来ていた。

 

「進学決まったんなら暇だろ。よかったら木曜のクラブに来ない?」

 

「バレーできます?」

 

「できるよ」

 

「クラブ行ってバレーしようよ」

 

通りがけにふと思いついてバスケの得点を付ける準備をしていたSくんに声を掛けると、早速となりにいた同級生(こちらはかってのクラブ参加者)などを誘っていたのだけど、クラブに現れたのはSくんと、日曜には体育館にいなかったKくんの2人だけ。

 

支柱を立てたのだから、ほかの何人かを待っていてスマホでやっぱり行けないという連絡を受けたという流れだったのかもしれない。

 

3年前にコロナ禍が始まってからだと思うのだけど、それまでまとまった人数で日曜のバスケに来ていた小学生から高校生までの子供たちが次第に来なくなり、木曜のこのクラブも同じころから参加者が減って、やがては誰も来なくなっている。

 

どちらも参加の勢いがないのは、コロナ禍の影響があるのかもしれない。 

 

5年前、Kくんがクラブに来ていたころは、それまで参加者の大勢を占めていた小学生の最後の学年が卒業した後で、残された小学生はわずかな人数になっていたけど、中学生の参加はまだ続いていたし、激減した小学生に替わるようにして高校生たちが参加し始めたときでもあった。

 

Sくんに誘われたKくんは当時の賑やかだったクラブのことを思い出しながら来たのかもしれないし、Sくんも伝聞ながら似たようなことを思ったかもしれない。

 

SくんやKくんの学年の子供たちも今春には巣立ってしまう。

 

かってのクラブ参加者の最後の学年が巣立っていく。

 

正確にはクラブ経験者はまだ数人残っているのだけど、それもあと2、3年のこと。

 

気がつけば近所でも子供の数がめっきりと減っている。

 

Sくんが小学生のころには、昔よりは少ないとはいえ、あの家、この家と、まだ近所に子供たちがいてその中の何人かはクラブに来てもいた。

 

クラブの最後の儀式のように、2本の支柱が立てられて、その支柱の間でこの土地最後の子供2人がバレーボールを行い、そして2本の支柱は倉庫へと収められる。

 

そんなこともブログを書きながら夢想する。